童話の深層 ユング心理学とグリム童話

ユング心理学、河合隼雄本 第2弾

 先に挙げたユング心理学入門が自分の中では結構良かったので、色々と読んでみようと思いました。

童話の深層 ユング心理学とグリム童話
著者: 河合 隼雄
ページ数: 396ページ
出版社: 講談社
発売日: 1994年2月

童話をユング心理学によって解釈するとどうなるか?

 童話をユング心理学によって解釈するとどうなるか?ユングは文化や人種などを越え、人類に普遍的に存在する無意識的なイメージでしょうか?そういうものを普遍的無意識と呼びました。たとえば母は土とか、生・死とかのイメージ(グレイトマザーと呼ぶ???)。そして、童話にもそれを見いだします。

 この本を読んでいると、実は童話というものは、いろいろなことを通じて主人公が成長していく過程を無意識の世界を通じて表しているのではないか?と思えてきます。

 無意識との闘いは常に過酷、困難です。今までの自分を壊されたくなく必死に守る自我、それに対して新しい自分を莫大なパワーを持って迫る無意識。その闘いは過酷であるが故に、物語では成功すれば金品や地位などで莫大な成功をもたらします。しかしながら、失敗をすれば往々にして主人公にもたらされるのは死です。

 今までの十一章にわたって述べてきたことも、結局はこのような意識と無意識の相互作用のなかで、「個人」がいかにつくられてゆくのかという過程を、各段階ごとに明らかにしてきたということができる。その過程のなかで主人公はしばしばそうとうな危険に出遭い、困難な意志決定を迫られる。そのようなときにいかに対処するのかという点では、今までみてきたように簡単な一般法則を見出すことはできない。ある主人公は危険に敢えて挑戦して成功し、あるものはそれを避けることによって事無きを得た。あるいは一見不幸に見える出来事が、後ではかえって幸福の種となることさえあった。このように一般化を許さぬことにこそ人生の特徴があり、それ故にこそ個性化と呼ぶべきなのであろう。

河合隼雄 著『童話の深層 ユング心理学とグリム童話』

 人はいかに成長をし、個性を見出していくのか?そして人生とは何か?童話はそれを子どもたちに教えているのかもしれません。