書評: 情報進化論 — 生命進化の解明に向けて

情報進化論 — 生命進化の解明に向けて
著者: 大矢雅則
ページ数: 112ページ
出版社: 岩波書店
発売日: 2005年4月

 生命の進化について、もっとも情報学からして扱いやすい題材であるDNA・RNAをベースとして、情報学的取り扱いをしてみた本。理解が浅いような気がしているので、うまく書けている自信がない。

 そもそも情報とは何か?ということにこの本は結構な紙面を費やす。情報を科学でとらえるには、現時点で我々に与えられている方法というのはシャノンの情報エントロピーを用いる。そして、このようなとらえ方を用いて生命情報の符号化列であるDNAを解析する。

 シャノンが情報を数量化したことで、その情報の受け渡しの精度を計算することができる。それを生命に応用すると、生物のDNA上での類縁関係を数値化することができる。この本では、生物の分類をしたり、HIVの変化を見たりする。

 また、符号化列としてのDNAは情報学的に見るとどのぐらいエラーに対して強いのか?という点についても、現在コンピュータサイエンスや通信理論で使われているようなエラー訂正理論に当てはめ解析する。

 DNAに刻まれた情報というのは単にATGCの4つの符号がただ並んでいるわけではない。そこには、生命の知恵が隠されているのだろう。

 目標まで残り194冊。