「レボリューション・イン・ザ・バレー — 開発者が語るMacintosh誕生の舞台裏」を読みました

この本はそのオリジナルのMacintoshの開発の舞台裏を開発者自らが描いた本である。

レボリューション・イン・ザ・バレー ― 開発者が語るMacintosh誕生の舞台裏
著者: Andy Hertzfeld
出版社: オライリー・ジャパン
発売日: 2005年9月

奇しくもMacintoshは今からほぼ25年前の1月24日、1984年1月24日に発表された。
現在では、このときの発表の様子はYouTubeで観ることができる。

自分とMacとの出会いはそんなに昔のことではない。
ずっとMS-DOSやWindowsを使っていたのだから。 

AppleがIntelに移行することを知ったあのWWDC 2005で、Macを使ってみたいと思うようになった。
それまではあまりにもあの帝国にがんじがらめにされていて、そのほかのことを考えるなんてことはあり得なかった。

そしてMacworld 2006で初のIntel MacであるMacBook Proを見たとき、少し失望した。
あまりにも性能に対してMacBook Proが高すぎたからだ。1

結局その後で、デュアルコアCPUを搭載したノートブックをいち早く買いたかったのでVAIO type SZを購入してしまった。

しばらくして、5月の下旬にMacBookが発表された。
こちらはProとは違い、十分に価格性能比がよかった。
あのすてきなボディーに見せられてついポチッてしまったのだった。 

買った当初は慣れなかったのでVAIOばかりを使っていた。
でも、このままでは埃をかぶると思って意図的にMacBookを使い始めた。

そうして使い始めたのだけれど、美しいプロポーショナルフォントや統一されたデザインといった見た目、UNIXであるという中身、そして何とも口では言いがたい哲学から、いつの間にやらVAIOを使うことはなくなった。

Macを形作っているものの一つは哲学であると、この本は思い出させてくれる。
そして、開発者たちはいかに非凡であり、既存のものにとらわれずに、その哲学やヴィジョンに夢を描き、とてつもない情熱と愛情と独創性でMacintoshの開発を進めていったのかが、手に取るようにわかるだろう。
読んでいると、自分たちが世界で最も革新的なコンピュータを作成し、世界を変えてやるんだという情熱が、その楽しさが、今でもフォルテッシモの波となって伝わってくる。

この本を読んでいるとそのようなドキドキ、ワクワク感を自分も心から感じざるを得ない。
創造性というものがいかにすばらしいものなのか、 タイムマシーンに読み手を乗せて教えてくれるのだ。

レボリューション・イン・ザ・バレー — 開発者が語るMacintosh誕生の舞台裏」より引用

熱意は人から人へと伝わるものだ。作るのが楽しい製品は、使うのも楽しい可能性が非常に高い。オリジナルのMacintoshのチームが持つ緊迫感、功名心、卓越に対する情熱、芸術家としてのプライド、そして恐れを知らないユーモアなどが製品を通して伝わり、Macintoshのスピリットをその時代のデベロッパや顧客に吹き込んだ。それは20年以上経った今でも、影響を与え続けている。 

Andy Hertzfeld 『レボリューション・イン・ザ・バレー — 開発者が語るMacintosh誕生の舞台裏』
  1. 出荷されるときにCPUが強化されたが、それでも他のWindows機に比べて高かった。現在はそんなことはなく、妥当な値段かむしろ安い。 []