ちいさな王子

新訳ラッシュ

 星の王子さまは、有名な「古典」ですが、最近版権が切れたためいくつもの翻訳が出ているそうです。この本もその中のひとつ。といいつつ、途中まで読み進めるまで気がつかなかったんですがね。星の王子さまをちゃんと読んだことはなかった気がするから(でも挿絵には記憶がある)。

ちいさな王子
作者: Antoine de Saint-Exupéry
訳者: 野崎 歓
ページ数: 174ページ
出版社: 光文社
発売日: 2006年9月7日

 このシリーズは光文社古典新訳文庫というシリーズだそうです。

光文社古典新訳文庫

キツネの教えてくれる大切な秘密

 有名なキツネの教えてくれる大切な秘密。

心で見なくちゃ、ものはよく見えない。大切なものは、目には見えないんだよ。

 いつも思っていることではありますけれど、心が不感症にならないように、心の感度を最大限に上げたいなぁと、改めて思いました。

時間をかけて世話したからこそ、きみのバラは特別なバラになったんだ。

 私にはこのメッセージが、

なにもバラは自分の外にあるだけじゃなくて、自分の中にもあるんだ。あなたはあなたの中にある大切なバラを育ててね。そうすればきっとそれは特別になる。

そんな風にも聞こえました。

こだわりのある名訳

 後書きで、作者がなぜこの題名にしたのか?ということについても語られますが、ひとつひとつの言葉を丁寧に選ばれてこの作品ができたのではないかと感じさせるものになっていると思います。とても輝いているような、そんな感じがします。

 冒頭、「ジャングルの冒険」と訳された部分が「ボアの不思議」について書かれているのに、冒険だなんて訳していてダメだという意見もあるみたいですが、私にはそんなことをひっくるめて、子どもの目には不思議なものにふれる「冒険」である(そう、子どもにとっては日常自体が新しい冒険なんですよね)様に思えるので、まったくもって適切な訳だと思っています。

 このシリーズの他の本も読んでみたい。