書評: デッドエンドの思い出

デッドエンドの思い出
著者: よしもとばなな
ページ数: 245ページ
出版社: 文藝春秋
発売日: 2006年7月

 初めてよしもとばななの本を読んだ。

 話の内容はどこにでもありそうなこと。でも、心理描写が深くて、自分はこういうのを求めていたんだって思った。

 自分は何度も書いているかもしれないけれど、心理描写が深いものが好きだ。小説でも漫画でも。それは想像力がない証なのかもしれないが、肯定的に、自己正当化をしてみると、それはきっと自分の中にある感情を確かめたいのではないか、まだ知らない感情を知ってみたいのではないか、いろんな目を持ってみてみたいのではないか、とそんな気がしている。

 それにしてもどうしてこんなにもありありと感情がまるでお見通しよというまでに、書けるのだろうか。文章を読むだけで、ああ苦しみながらもずっと向き合ってきたんだなということがさっと解ってしまうような文章。

 よしもとばななは後書きに、この小説が書けたので、小説家になって良かったと書いている。書評: 村上春樹、河合隼雄に会いにいくのところでも物語と癒しについて書いたのだけれど、小説というのは小説家の中にある何らかの心のイメージを小説というかたちで現実に投影しているのではないかと感じた。

書評: 村上春樹、河合隼雄に会いにいく

 きっとほかの小説も読むつもり。

自分がとらえたいものが、その人の世界なんだ、きっと。

 目標まで残り189冊。