書評: プログラム書法

プログラム書法
著者: Brian W.Kernighan, P.J.Plauger
ページ数: 236ページ
出版社: 共立出版
発売日: 1982年6月

 プログラムはどう書かれるべきかということを記した、非常に古典的な本。今でこそ当たり前になった構造化プログラミングの重要性を書いている。

 題材とするプログラミング言語はFortranとPL/Iであって、実際に教科書や現場で用いられたプログラムを載せ、それに対して批判的な検討を加えている。そして、そこから「教訓」を引き出すというのが本書の基本的なスタイルである。

 一つ一つの教訓はわたし個人にとってはなじみ深いものであって、知っているものばかりであったので、さくさく読み進むことができた。ただし、Fortranで書かれたプログラムはほとんど読んでいない(ぉぃ。

 ただし「迷路を解くアルゴリズム」でされた考え方は、再帰的に問題を解決したり、分割統治の方法(これはこの本全般にわたるが)を学ぶのにとてもいいサンプルだと思う。

 最新のFortranがどうなのかはわからないのだけれども、少なくともこの本が書かれた当時のFortranはなかなか後から読むのに厳しいものがあるなという気がした。言い換えれば、「構造化プログラミング」という概念がいかに重要かということを「教訓」を含めて改めて思い知った。逆にいえば、Cでさえいかに洗練されているかということである。

 たとえば今やプログラミングにgotoを使うなというのは、(goto自体がほとんど出てこなくなったので)聞かなくなったのかもしれないが、この時代ではgotoが多用されていてまさにスパゲッティーなプログラムになっているわけである。わたしがFortranで書かれたプログラムを読まなかったのは(いや正確に言えば読めなかったという方が正しい)、文法を知らなかったということもあるけれども、情けない話このスパゲッティーについて行けなかったからである。

 しかしながら、Fortranが読めないからといって心配することはなく、解説を読めばきちんとプログラムを書く上で最低限必要になる「教訓」は得ることができ、それは今日においても全く廃れないのである。

 一度もこういったたぐいの本を読んだことがなければ、古典であるこの本でも良いかもしれない。ほかのこういったたぐいのことをまとめた本を読んだことはないので、かもしれないと書いた。プログラムをこう書くべしということ自体は様々な本で断片的に出ていると思われる。

 目標まで残り176冊。