やさしさの精神病理

そんな訳で、久々にまともに(終わってるな)本を読んだので、書評でも書きますか。

と書いたものの、アップロードしていなかった。
うまくまとまらなくても、ある程度の期間内でアップロードしないといけないのかも。

やさしさの精神病理
著者: 大平健
出版社: 岩波書店
発売日: 1995年9月

10年以上前の本ですが、鋭さは衰えていないし、ポケベルが出てくること以外は別に古さを感じさせなかった。

旧来のやさしさは他人と気持ちを共有するという、いわばねちっこい、この本ではホットなやさしさ。
一方で、現在ではそれとは打って変わって他人を傷つけないウォームな「やさしさ」だとしている。

席を譲ると老人扱いされてしまって傷つくかもしれないから譲らないという「やさしさ」。
敢えて他人にには踏み込まないという「やさしさ」。

半分以上こういった事象が語られており、そこに著者の解釈が所々に入る。

今は昔よりもこの状態から少し戻っているのではないかと思う。

インターネットが出現したこと。
それによって見ず知らずの人と気持ちを同調させることができる。
それは、友だちとか身近な人には「やさしさ」のため言えないことでも、ネット上の見ず知らずの人には言える(かもしれない)。

いま「ぐるりのこと」という映画がやっている。

この映画は子供を死なせてしまい鬱になってしまった妻に夫がずっと寄り添っているということでだんだんと立ち上がってくるという物語(だと認識している)。
今週あたり見に行きたいと思っているところですが、主演のリリー・フランキーがインタビューでとてつもなく重要なことを言っている。

今の人は相手の悪い部分を見るとすぐに別れてしまうから、女性誌の特集は“古い恋をリセットする方法”しかない訳で、“1人とずっと付き合う方法”なんて誰も思いつきもしない。そうやってスカスカな恋愛を繰り返しているんです

リリー・フランキーが語る理想の夫婦とは?「ぐるりのこと。」 – goo 映画

この映画の夫婦はこの本で出てくる「やさしさ」を主張する人たちとは全くの逆を行くのだと思う。

とここまで書いて、やっぱり映画を観ないとわからんなぁと思っていたので、続きは映画を観てから書こう(観ました)。

この本の最後には「選択がこわい」ということが書いてある。
これは痛いほどよくわかる。

全ては傷つくのがこわいという、もろさから。
本当に自分自身のこのもろさをよく感じる。

どうしたらこのもろさを突破できるのか?考えてわかるものなのだろうか?
気づいて、目をつむって歩き出すしかないような気もする。

昔と違って少しだけ変わったことは、未来はヴィジョンを持って自分で作って行くものだということに少しだけ気づいたということ。

なんだかうまくまとめられないなぁ。
一つのことに絞って書けばいいのかもしれないけれど。