Monthly Archives: June 2008

超えてゆく 2

前から気になっていた本の書評が出ていた。

ニーチェ ― ツァラトゥストラの謎
著者: 村井則夫
ページ数: 353ページ
出版社: 中央公論新社
発売日: 2008年3月

白黒つけたら、あなた考えないでしょ?〜『ニーチェ──ツァラトゥストラの謎』

ツァラトゥストラはとても大好きな本で、でも上巻はそのときはわからなかったのか、あまりおもしろいとは思わなかった。
下巻は大好きで、特に「重力の魔」の節がとてつもなく好き。

ツァラトゥストラはこう言った(上)
著者: Friedrich Wilhelm Nietzsche
ページ数: 275ページ
出版社: 岩波書店
発売日: 1967年1月
ツァラトゥストラはこう言った(下)
著者: Friedrich Wilhelm Nietzsche
ページ数: 365ページ
出版社: 岩波書店
発売日: 1970年1月

そんなことは置いておいて、このレビューのここがおもしろかった。

 しかし、なぜニーチェはそんな書き方をするのか。それは、「こう読めば正解」といった白黒をはっきりさせる読解が、わかりやすさと引き換えにそれ以上の思考を停止させる罠を孕むことを熟知・痛感していたからだろう。

 むしろニーチェは、彼の作品を読もうとする人に、書き手の思考の痕跡をただ惰性的にたどる代わりに、読みながらそこここで躓き、自分の頭で考えること、生きることを迫っている。そのため読者は〈安易な解決に甘んじない忍耐と、宙吊りにされ、結論がなかなか見えない不安定な状態を受け入れるだけの読解の闊達さが、ここに要求される〉(p.119-120)のである。

ここを読んだときに、自分の頭の中ではV.E.フランクルの「夜と霧」にリンクした。

もう一度引用すると長くなるので、リンクだけにとどめておく。
「心で解る」までの時間

すなわち、我々は日々、生きることに対して問いかけられる存在だということ。
生きることに対して、こうであろうと悟ったとしても、色々な事象を通して、生きることは果たしてそれは本当なのか?と問いかけてくる。
そんなようなことを日々に対して、少しだけ感じる。

そして悲しいこと、辛いことが起きたとき、日常を遙かに超えて考えることを迫られる。
今までのあなたの思想、哲学は果たしてこれで良いのか?と。
もっと成長できはしないのか?と。

果たしてそういうときだけで良いのだろうか?
そうだとは決して思えない。
先ほど書いた秋葉原の事件のことに関連して、日々問われている存在だということを、こころで、こころから存分に解ることはできないだろうか?

秋葉原の事件のこと

正直衝撃をかなり受けました。

犯人がどうとか、そういうことについては、なんか境界性パーソナリティ障害っぽいなぁとは思いましたが、もう色々なところで書かれているでしょうということで、ここでは書きません。

この事件で強く感じたのは”Memento mori”でした。
よくある日本語訳では死を想えですかね。
いとも簡単にあんな風にして自分も死んでしまう可能性があるということ。
それが未だに心の中でくすぶっていることの一つです。

あの場でなくなった皆さん、まさか自分がそのような目に遭うとは思いもしなかったでしょう。
ただ単に遊びに行って、あんな目に遭ってしまった。

未来は誰にもわかりません。
自分もいつかあんな風に遊びに行ったり、もしかしたらただ単に日常を送っているだけなのに、あんな突拍子もないことであれ、天災であれ、死んでしまっている可能性は0では決してないんだということ。
この文章をアップロードした今日、死んでしまう可能性は0ではないということ。

Steve Jobsが2005年にStanford大学でおこなった、卒業記念講演を思い出します。

Your time is limited, so don’t waste it living someone else’s life.
Don’t be trapped by dogma — which is living with the results of other people’s thinking.
Don’t let the noise of others’ opinions drown out your own inner voice.
And most important, have the courage to follow your heart and intuition.
They somehow already know what you truly want to become.
Everything else is secondary.

Text of Steve Jobs’ Commencement address (2005)

 

iPhoneの予約

iPhoneを予約しましたという方がちらほらいるんですが、私はソフトバンクモバイルのショップじゃなくて、Apple Storeで購入したいです。
Apple Storeでは売らないのかなぁ?

先にソフトバンクモバイルのショップで予約しておいた方がいいような気がしてきたぞ。
というか、それ以前に大手量販店では発売しないのだろうか?

Hello iPhone 3G

ついにiPhone 3Gが発表されました。

Appleの公式サイトによると、日本では最短の7月11日発売の模様です。
Apple Storeでも売るのであれば銀座あたりに並びに行きます。
本当に楽しみだわー。

CocoaやRubyでプログラミングしているとね

Cocoaでプログラミングをしていたり、Rubyでプログラミングをしていると、プログラミングってこんなに楽しいんだって思う。
完成品のビジョンがあるかもしれないけれど、それだけじゃない気がする。

今まではC++を使ってメタプログラミングをして、型で遊んでいたけれども、そのときもこんなに楽しいとは思えなかった。
C++のメタプログラミングは、エラーが満載の中でなんとかコンパイルが通った時には喜びは一入だけれども、早く動くコードを書きたいときは足かせになる。

一方で、Cocoaのプログラミングはすごく楽しい。
さくさくGUIが作れる(ちなみに今はInterface Builderを使っていない)。
そして、WindowsでGUIプログラミングをしていたときは、こんなに楽しくはなかった。
なんなんだろう?この違いは。

一つだけ嫌なのは未だに参照カウンタがどう動くのかよくわかっていないところ。
これはreleaseしないとまずいだろうと思うところで、してみたらクラッシュ。
Instrumentsでメモリリークを見てみたら、リークしてる。
もー、って感じ。
ただ、メモリリークを今のところ気にしないことにしておけば(つかえるところではガベージコレクタを使えば)、それは別に良い。

たのしいCocoaプログラミング
著者: 木下誠
ページ数: 356ページ
出版社: ビー・エヌ・エヌ新社
発売日: 2007年6月26日

(たのしいCocoaプログラミングはLeopard対応版が出版される予定です)

そして、Rubyでプログラミングするのも楽しい。
「たのしいRuby」という本に(これはなかなか良い本なんだけれども)、「Rubyは、プログラミングをたのしくするためのプログラミング言語です。」と書かれている。
Rubyは思ったことがそのままコードになる。
ちょっと考えて、そのままタイプすれば、それが動く。
とてつもなく楽しい。
そして、正規表現がシームレスに使えるからテキスト処理も簡単だし。
何年か前にRubyを憶えようとして正解だった。

たのしいRuby 第2版
著者: 高橋征義、後藤裕蔵
ページ数: 489ページ
出版社: ソフトバンククリエイティブ
発売日: 2006年8月5日

プログラミングはとてつもなく楽しいもの。
1日中コードを書いていても飽きない。
このことを数年ぶりに思い出させてもらっている気分です。

超えてゆく

土曜日にとある人と飲んだ。

普通の人だったので(別に悪い意味ではなく)、果たして話が続くのかな?と内心どきどきだったけれども、話してみたらプライベートのことを普通に話せた。
相手も話しやすかったから、腹黒い自分を見せてしまったけれども話せてすっきりしたと言っていて、本当によかったと思う。
自分は酔っぱらった勢いで相当痛いことを言っていたような気がするが、まあいいかな。
佐藤という芋焼酎が本当においしかった。

そのときに指摘されたのは、「さっきから超えてゆく、超えてゆくといっているけれども、そんなに嫌だったら無理することはないんじゃない?」って。
そんなに自分が超えてゆくということを言っていたなんて気づきもしなかった。

その後色々と考えて、無理をしているわけではないと思った。
ただ自分は、いつの間にか少しずつこういう自分になりたい、こういう日々を送りたいと思うようになっていて、なんとかそれに向かっていけないかと思っているだけだった。
こういう自分になりたいということだから、別に無理をしている訳でもないし、ある意味楽しんでいる訳で、努力している訳でもない。

昔よりも少しだけ、他人との比較を良い意味で脱出しようとしているのが嬉しい。
問題をきちんと見ようとすると、深く追究せざるを得なくて、そのうちに比較から脱出できるのかもしれない。
毎日を過去の自分との微分で考える。
そんな風に過ごしたいと思います。