Monthly Archives: March 2008

書評: 夏目友人帳

 いずれご紹介しようと思っている、この機会に紹介します、マンガ「夏目友人帳」がテレビ東京系でアニメ化されるようです。書評の数には入れませんけれど、一応タイトルには書評と入れておきました。書評がたまっているのに先にこちらを更新してしまいました。

夏目友人帳

 そろそろ新刊が出るかなぁ?と思って先ほど検索したら、5巻が発売されていました。それでアニメ化を知ったというわけです。これはちょっと見てみたい気もするし、世界観が崩れないかどうか心配でみたくない気もするし微妙なところです。

夏目友人帳 第5巻
著者: 緑川ゆき
出版社: 白泉社
発売日: 2008年3月5日

 あらすじを紹介します。かったるいのでWikipediaからの文章を改変します。

 主人公は普通の人には見えない妖怪が見えてしまうという夏目貴志。見えてしまうがゆえに、今まで他の人とはなかなかなじめずにいる。

 そんな中、祖母の遺品である「友人帳」というものの存在に気づく。しかしその「友人帳」は祖母・レイコが負かし、名を奪った妖怪の名が書いてある契約書だった。名を書かれた妖怪たちは命を握られ従わなければならなくなってしまうので、妖怪たちから名を返して欲しいとせがまれたり、おそわれたりする。

 ふとしたきっかけで用心棒???となった妖怪ニャンコ先生とともに妖怪たちに名を返す日々を描く。ありきたりなあらすじはこんなところでしょうか。

 この夏目少年、なかなかまっすぐで、妖怪であっても人と同じように接しようとします。たとえば第1巻の4話で、逢いたい人がいるのに妖怪であるために「逢えない」(見えない)燕のために、一晩だけ人間の姿になれる浴衣を苦労して獲得しようとしたり。

 妖怪のために苦労して浴衣を取ろうとする理由を聞かれて、夏目は

情が移ったからさ
友人の為に動いて何が悪い

と答えます。この話は今まで読んできた全話の中で一番好きですね。

 まあ、そんなまっすぐな話が満載のマンガですね。自分が一番読みたい心理描写もしっかりと描かれているしということでかなりオススメです。願わくば人の顔がもう少しうまいといいのですが、でもまあ自分は絵が描けないので。

夏目友人帳 第1巻
著者: 緑川ゆき
出版社: 白泉社
発売日: 2005年10月5日
夏目友人帳 第2巻
著者: 緑川ゆき
出版社: 白泉社
発売日: 2006年8月5日
夏目友人帳 第3巻
著者: 緑川ゆき
出版社: 白泉社
発売日: 2007年2月5日
夏目友人帳 第4巻
著者: 緑川ゆき
出版社: 白泉社
発売日: 2007年8月4日

 それにしても白泉社のマンガの帯は本当に良くできていますね。蔵書フィルムコートサービスにもう1回だそうと思って準備しているところなのですが、帯はどうやら装着されて戻ってくるのではなくて、半分に折られて戻ってくきます。そのため、いるものといらないものでわけていたんですが、思わず買いたくなってしまいそうな帯とこれならつけなくてもいいじゃないという帯の差が歴然としているなぁと思いました。まあ、理工学書は帯をみて買うものではありませんが・・・。

己と道具を知ること

 以前書評を書きました、アタマが良くなる合格ノート術という本で、学びに重要なのはノート術そのものよりも、このノート術たらしめた哲学の部分、すなわち自分が理解していることと理解していないことを明確にするということであると書きました。

アタマが良くなる合格ノート術
著者: 田村仁人
ページ数: 176ページ
出版社: ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日: 2007年4月28日

書評: アタマが良くなる合格ノート術

 この理解していることと理解していないことをきちんと理解する、すなわち己を理解することができていると、もしも間違えてしまった場合には自分には何が足りていなかったのか?ということがきわめて明確になります。もしくは、自分が理解していたことが実は違っていたということを理解し、補正をかけることも可能となるのです。

 さらにそれによって道具を知ることということにもつながります。

 道具を知ると何がよいのか?それは情報を圧縮することが可能となると考えています。よくポイントを憶えなさいといいますが、道具をよく知らない段階ではポイントを憶えたところで、その使い方がわからない。そうすると、やけになってたとえば全部憶えようとする。もちろん人間の脳はすばらしいもので、雑多に詰め込んだ情報を勝手にクラスタリングしてくれるという機能も持ち合わせているのですが、場合によってはそれが効率が悪いということもあります(もちろんそれが必要な場合、たとえば全く理解できないようなことをやる場合にはよいとかがあります)。

 ところが、道具の使い方がしっかりわかっていると、そこの部分は一点ですみますのである程度間隔の開いた点で情報を表現することができる、すなわち圧縮されているということになります。これのすばらしいところは抽象化が可能だということです。つまり情報が圧縮されている分、ほかのものと見比べたときには違いが引き立つし、同じものは同じ部分が引き立つ。それが抽象化するということでしょう。

 要はやるべきことはどうやったら理解していること、理解していないことを明確に区別するかということであって、そこに注力することは多大な影響を及ぼすと思われます。

 ではさて、これをどうしようかということを今少しずつ考え始めているところです。

書評: ソクラテスの弁明 / クリトン

ソクラテスの弁明 / クリトン
著者: Πλάτων (プラトーン)
ページ数: 117ページ
出版社: 岩波書店
発売日: 1964年1月

 ソクラテスがとてつもなくかっこいい。

 ソクラテスはアテナイの国家が信じる神々とは異なる神々を信じ、若者を堕落させた」という罪状で公開裁判にかけられる。そこでの弁明が前半「ソクラテスの弁明」。後半は親友クリトンとの最期の対話。

 この弁明において、ソクラテスは自分の無罪にするような、つまりはたとえば情に訴えるような弁明を行うこともできたのだが、敢えてそれをせず、自分がいかに無罪であるかを他者の心理をきちんと読み解きながら行った。

 クリトンでは親友クリトンが脱走を手助けするから(この当時、看守に少しの金を積めば脱走できたそうである)脱走しようと持ちかけるのだが、いくら悪法であったとしても、法を守らなければ、しかも元々の罪状を肯定することにもなりかねないとして(国法を破るものは、若者を堕落させるような危険な人物であるに違いないというようなこと)、断固拒否したのであった。

 ソクラテスは本当に真理というものに対して謙虚だったのだろう、あくまでも哲学的に考えた真理というものを全うし続けたのだった。

 そして、わたしは「ソクラテスの弁明」でのこの一節がとてつもなく好きだし、初めて読んだときにとてつもなく胸を打ち抜かれた。

好き友よ、アテナイ人でありながら、最も偉大にしてかつその智慧と偉力との故にその名最も高き市の民でありながら、出来得る限り多量の蓄財や、また名聞や栄誉のことのみを念じて、かえって、智見や真理やまた自分の霊魂を出来得るかぎり善くすることなどについては、少しも気にかけず、心を用いもせぬことを、君は恥辱とは思わないのか

 少しでもこんな風になりたい。

 目標まで残り180冊。

書評: スティーブ・ジョブズ 偉大なるクリエイティブ・ディレクターの軌跡

スティーブ・ジョブズ 偉大なるクリエイティブ・ディレクターの軌跡
著者: 林信行
ページ数: 127ページ
出版社: アスキー
発売日: 2007年12月17日

 Apple創業者であり、熱狂的な信者を生み出すカリスマでもあるスティーブジョブズの逸話と半生を、筆者の林信行氏の視点を交えながら紹介する。

 のっけかからなんなのだけれども、この本の価値は単純にそうした逸話自体にあるようにも思えない。そういう逸話を知りたければ、「スティーブ・ジョブズ – 偶像復活」を読んだ方がいいかもしれない。彼の半生が非常に事細かに載っている。

スティーブ・ジョブズ – 偶像復活
著者: Jeffrey S. Young, William L. Simon
ページ数: 544ページ
出版社: 東洋経済新報社
発売日: 2005年11月5日

 この本には貴重な写真が載っていて、そういうことにも価値があるのだと思うのだけれども、たぶん胸を打つシンプルなキャッチコピーとその周囲に浮かぶ、いかに本質を見出すことにたけていたかということを示すということがこの本の価値なのだと思う。

 改めて思ったのだけれども、日本にもそういうAppleのような物作りができないとは思えない。かつて偉大なSONY創業者、盛田昭夫という人がいたではないかと、この本で思い出した。

 自分は改めて、彼のStanford大学の卒業式でのはなむけの言葉に戻らないといけないと思われる。

Because almost everything — all external expectations, all pride, all fear of embarrassment or failure – these things just fall away in the face of death, leaving only what is truly important.

Steve Jobs – ‘You’ve got to find what you love’

 目標まで残り181冊。

ffmpeg + AppleScriptでflvからmp3を抽出する

 ニコニコ動画やYouTubeなどで気に入った曲はflvファイルをダウンロードして、さらに中に入っているmp3ファイルを抽出して聞いています。どうするのかというと、ffmpegというソフトをダウンロードして、AppleScriptを書いています。

 そのやり方を書いてみたいと思います。自分が動作確認をしているのはMac OS X Leopardです。たぶんTigerでもうまくいくのではないでしょうか???

 ffmpegのインストールはMacPortsを使って行いました。

MacPorts

 MacPortsを使うにはXcodeが必要なので、あらかじめインストールしておきます。Appleからもダウンロードできますが、面倒な場合はとりあえずMac OS XのCDの中にも入っています。

 公式サイトに行って、左側にある”Available Download”のリンクから、ご自身のMac OS Xにちょうどいいファイル(.dmgファイル)をダウンロードします。インストーラになっていますので、インストールしましょう。

 そうしたら「ターミナル」を起動します。

 さらにパスを通さないといけないので、デフォルトではbashなのでそう仮定をして、~/.bashrcに次の2行を書き足します。

export PATH=/opt/local/bin:/opt/local/sbin/:$PATH
export MANPATH=/opt/local/man:$MANPATH

 そんなファイルは見つかりませんって?

  1. ターミナルで
    vi ~/.bashrc

    と入力しEnter。

  2. (日本語モードが切れていることを確認して)、”i”を押す(入力モードになる)。
  3. 先ほどの2行をコピーして、ターミナルに貼り付け。
  4. “ESC”を押す(編集モードになる)。
  5. “:wq” (write and quit) と入力し、Enter。

 これで、~/.bashrcに書き込まれることになります。なんか変な操作をしてしまったときは、ESCでとりあえず編集モードにして、”:q!”で保存せずに終了ですので、もう一度最初からやり直すといいと思います。ちなみに以上の説明の “i” は i だけを、”:wq” は :wq だけを実際には入力します。

 できたら、一度ターミナルを終了して、新しく開きます(これで先ほどの設定が有効になります)。

 いよいよMacPortsを使います。ターミナルで

sudo port -v selfupdate

と入力し、MacPortsを最新の状況にアップデートします。なお、パスワードが求められますが、OSにログインするときのパスワードです。

 続いて、以下のコマンドでffmpegをインストールします。

sudo port install ffmpeg

 先ほどのコマンドから一定時間経っていなければ、パスワードを求められることはありません。ffmpegのインストールに必要なファイルをMacPortsがダウンロードし、さらに必要な設定を行いコンパイルし、インストールをしてくれます。

 これで、MacPortsは終了です。MacPortsはとてもすばらしいソフトですが、これ以上は説明しませんので、必要な方はそのほかのサイトでみてください。

 続いては「スクリプトエディタ」を開きます。

set fileName to choose file with prompt "mp3を抽出するファイルを選択してください"
	
set fileName to POSIX path of fileName
	
do shell script "/opt/local/bin/ffmpeg -y -i \"" & fileName & "\" -acodec copy \"" & fileName & ".mp3\""

 以上の3行を入力し(コピーしてください)、実行を押すとダイアログが開いてファイルが選択できるようになります。mp3を抽出したいflvファイルを選択すると、そのflvと同じフォルダにmp3ができあがっています。

 使ったスクリプトは名前をつけて保存をし、すぐに呼び出せるようにするといいでしょう。

 抜けているところの説明は、適当にインターネットで検索してください・・・。

うれしいね!うれしいね!

大河原克行の「パソコン業界、東奔西走」- アップルが密かにシェアを上げている理由

 なんだか、こういう記事が登場するたびに同じようなことを書いている気がしますが、あしからず。

 かくいうわたしも、AppleがIntelに移ってから初めてMacを買ったわけですが、Intelに移行してからの自分の周りでの広がりはなかなかのものです。

 企業でMacを導入するところはまれなのでしょうから、(実はうちの薬局に電子薬歴が導入される際にMac miniを導入しようと企てましたが 1 、CPUが良すぎたためにそれが価格に跳ね返ってきてしまい失敗しました(笑))全体のシェアではたぶんそんなにすぐには上がってこないと思われますし、これからもApple自体がコンシューマや教育分野にしか力を入れていない時点で怪しい。

 つい最近ついにOfficeは2008(といっても資料をもらって開いて印刷する程度ですが)に、Visual StudioはXcodeに移行しました(ようやくわかってきて、すばらしいツールだということが理解できました)。もっともっとポテンシャルを引き出したいですね。

  1. とはいってもBoot Campで使うだけなんですけどね []