Category Archives: Psychology

なぜ?

 またもやメモ。今、実は修論書き中で、こういうような修論とはまったく関係のない話題が頭の中に沸々とわき上がるのですが(ちょっと困る)、こういうことを考えるのは自分にとってすごく大切なことだから、書いておきます。

 なぜ、自分の心を溶かしてくれる存在を望んでいながら、自分自身はそうなろうとはしないのか?

 心を溶かすことができる人と、他の人はどこが違うのであろうか?

他人の心などわかるはずがないということ

 このblogでは、人の心理について書いていて、まあ、もっともらしくわかったようなふりをしていますが、賢明な皆さんがお気づきの通り、その実なにもわかっていません。

 心理学と呼ばれるものを学ぶにあたって、自分が一応肝に銘じていることがあります。心理学は自分を知るためのものであって、他人を知るためのものではない。そして、他人の心など所詮わかるはずもないということ。

 前者はまあいいとして、後者についてこういってしまうと元も子もないような気がしますが、ただ、ある種のパターンはあると思っています。人の心を、それを作っている欲求をみると、ある種根源的なものに行き着くでしょう。

 ただ、それがどう実際に表現されるかどうかはわかりません。喜びとして表現されるのかもしれませんし、悲しみ、果ては怒りかもしれません。どう表現されるかはわかりません。

 よかれと思ってやったことが、実はその人のコンプレックスを刺激してしまって、怒りを買うかもしれません。根源的なものから、その人の今までの経験によって、表現される方向が決まってくると、そう思っています。

 そういう意味で、やっぱり他人の心はわかりません。

コンプレックス
作者: 河合隼雄
ページ数: 221ページ
出版社: 岩波書店
発売日: 1971年1月

 ただ、他人と接していて、その人のそういういろいろな考え方の基本となる部分にふれるにしたがって、どうしてこういう風に感じてたのだろうか?というのを見つめるにしたがって、少しはほんの少しはわかるかもしれません。

 逆に言うと、他人とのふれあいで初めてわかる、気づく自分ということもあるはず。どうして、こういう風に自分は思ったのだろうか?と見つめていくにしたがって、いろいろなものを発見できるかもしれません。そのために心理学というものはあると、自分の中では思っています。

 

 ん〜、いかんな。抽象的にばかり考えている。

「君に届け」が素晴らしすぎる件

マンガがあればいーのだ。的、2006年マンガベスト20!+10!

 このエントリを見ていて、その中の「君に届け」に惹かれて買ってみました!!!

君に届け 1
作者: 椎名軽穂
出版社: 集英社
発売日: 2006年5月25日
君に届け 2
作者: 椎名軽穂
出版社: 集英社
発売日: 2006年9月25日
君に届け 3
作者: 椎名軽穂
出版社: 集英社
発売日: 2007年1月25日

 ヒロインの名前は黒沼 爽子、髪が長くて、貞子といわれる人物。霊感があるとか、3秒見つめられると不幸が訪れるとか根も葉もない噂をされてみんなから怖がられている存在。けれども、実は心はぴゅわほわいと(敢えてひらがな)で、感動やさん。健気で、がんばりやさん。すごく素敵です。

 そんな状況で、いつも彼女は孤立しているのですが、クラスメートの風早くんだけはそんな彼女にもまったく壁を作らず接してくれます。そんな、風早くんのおかげで少しずつ貞子に友達ができていき、貞子の中の心もほどかれていくという話。

 感想。もう、超いい!!!(笑)

 主人公貞子のピュアさに心が洗われます。自分もこんな風に物事に感動ができるようになりたい、ピュアになりたいと心から願ってしまいます。感動ができて、それを素直に感情表現できる人って少なくとも、ピュアにみえる、そんな感じがします。

 そして、風早くんのような壁を作らずに、しっかりと中身がみられるようなそんな人にもなりたい。第2巻のこの言葉が印象的でした。

・・・噂なんて どーだっていい
俺にとっては
俺がみてる
黒沼だけが
黒沼だ!!

 かっこいいですねー。ほんとかっこいい。

 なんか少女漫画ばっかり読んでいるというのは微妙に恥ずかしいんですが、自分は本当に繊細な心理描写が好きなんですよね。このマンガもすごくゆっくりと時間が流れていて、みんなの心理がとてもよく描かれてる。そこに感情移入しつつ、ピュアさに感動するみたいな(笑)。そんなのが一番好きです。

 自分もね、わかるんですよね、こういう風に壁を作らずに接してくれる人いると、どんなに嬉しいか。わかるから余計感情移入をしてしまいます。

 以前、人は逃げ込める存在があって初めて、強くなれるのかもしれないのエントリにも書いたような気がしますが、やっぱり私は存在を肯定されて、心の中が動き出すということが多分にあると思うのですよね。心がエネルギーに充ち満ちるというか。そこに感情移入もするのかもしれませんね。

 超おすすめ作です!

 

 ああ、フルーツバスケットも22巻発売されましたね。あとのこり1巻です。22巻ももう最高でした。また書こうと思います。とりあえず、一つ書いておくと、「それは とっても 無敵です」この言葉がすごく印象深くて。

こうの史代: 長い道

 昔から阿吽の呼吸などといいますが、心にはどうやら波長というものがあるような気がします。心の波長が合ってくると、ちょっとした変化から気持ちの変化が読み取れてしまったり。今日はいいことあったのかなとか、そうでないのかなとか。

L25でオススメされてました

長い道
著者: こうの史代
ページ数: 213ページ
出版社: 双葉社
発売日: 2005年7月28日

 研究室においてあった、L25でオススメされていて、興味を持ったので買ってみました。

あらすじなど

 両親が勝手に結婚することに決めてしまった荘介どのと道の物語。荘介どのの方は、全然タイプではないといい、しばしば浮気をするわ、道を質に入れようとするは、本当にひどいと言ったらひどい。一方で、道はそんな生活にもかかわらず文句の一つも言わず、健気に淡々と家事をこなし、アルバイトもする。

 一見全く不幸そうな二人ですが、なぜか倖せそうなところに、この漫画の非日常的というかおもしろさがあるのでしょう。

 浮気などをしつつ、道が風邪を引いたら心配そうに看病をする荘介どの。一見何も考えていないような、全くとんちんかんな答えをしつつ、意外と実は色々と考えているだろうということを思わせる雰囲気を漂わせる道。どうして、こんなにも楽しそうにみえるのでしょうか???

 そんなのらりくらりとした雰囲気がこの漫画全体にも、ギャグとシリアスの絶妙なバランスとして漂っています。

 ゆっくりと時がが流れる日常を過ごしながら、お互いにだんだんと情なのか愛なのかが生まれてきます。浮気をしても道の働く姿を見て、道の元に戻ってくる荘介どの。不思議な力だけれど、「そうですか」の話からもわかる気がします。以前、自己愛のところで受け入れてくれる存在がいることでというようなことを書いたと思いますが、道の存在は荘介どのにとって実はそういうものなのでしょうね。

心に残った言葉

 いくつか心に残ったことがあるので、挙げておきます。

叶うと いいです ねえ

ねえ 荘介どの

おカネのほうは よくわからない けど
もし 荘介どのの願いがかなって
本当に大切だ と思う人に 出逢った時
おかえりと 言うのは わたしでは なくなるの かもね

でも そういう事なら いいのです
シアワセになったかなあ と心配しなくてもすむもの

竹林どのの時みたいに

こうの史代『長い道』

でも 判ってる しな
そうそう 忘れるもので ない事ぐらい
相手が 生きていても
十年経っても
そして 新しい 好きな人が 出来ても

(略)

…竹林どの
わたしも シアワセになっても いいのですよね?

こうの史代『長い道』

ほんと馬鹿
おれなんかと 結婚しちゃってさ
…今さら イヤだって言っても おれもう別れて やんないかもよ

こうの史代『長い道』

 と、ここまで書いて物語で重要な竹林どののことを書くのを忘れてしまいましたw。

 最後に一言書いておくと、どの道を選ぶかよりも、選んだ道でどう生きるかが重要ということをここでもいっているのかなぁなんて思いました。

人は逃げ込める存在があって初めて、強くなれるのかもしれない

自己愛について書きましたが・・・

 先日、自己愛についてのエントリを書きました。そこで、自己愛についての重要性について自分なりに今思っていることを記してみました。しかしながら、自己愛があまりない人にとって、自己愛を高めるというか、自己存在の肯定感を高めることを自ずからやろうとするのはなかなか困難なことだと思います。

独りでやろうとするのはなかなか難しいから

 その先日のエントリの最後に、自分が伝えるべきだと考えていることとして

あなたは存在するだけでいいだよ、すばらしいんだよということをですね。

と書きました。誰かに存在を肯定してもらえるというのはとても嬉しいことなのではないか?と思います。

 繰り返しになってしまいますが、そもそも自己存在の肯定があまりできていないのだから、自ずから肯定をするのはなかなか難しい。だから、最初は他の誰かに肯定してもらう。人は、それを母親であったり、恋人であったり、そのほかの人にしてほしいわけです。

 ただ、自分は自己存在の肯定を高めてあげることと、ほめることとは何か微妙に違う気がします 1 。ほめることというのは 2、その無条件的な肯定ではなく、条件的な肯定の気がするのです。自己愛が低い人に真っ向からほめると、逆に自分はそんなにほめられる存在ではないと思う場合があったりして。ですから、まずは無条件的な肯定をするということが非常に大切なのではないかと思います。

恐怖に立ち向かうということ

 当たり前の話ですが、人間は恐怖をおそれます。では、「強い」ということというのはどういうことでしょうか?その解釈の一つに、失敗をおそれずに現実に立ち向かっていくということがあるのであれば、失敗をおそれないということが重要になります。

 そのためには・・・

失敗しても大丈夫。失敗しても、存在は否定されない。

ということが必要なのではないでしょうか。

 なので、失敗をおそれないということの鍵には、自己存在の肯定が大きく関与すると思わずにはいられません。ですから、このタイトルにある「人は逃げ込める存在があって初めて、強くなれるのかもしれない」と思うわけです。

最後に・・・

 フルーツバスケットでこんな記述があります。

側に 近くにいて
俺の
こんな俺の言葉をきいてくれた

呆れるでも
叱るでもなく

何度も
何度も

・・・何度も
受け止めてくれた・・・

(略)

だから
嬉しかった・・・

他人の弱音を嫌な顔ひとつしないでじっと
きいてくれたこと

受け止めてくれたこと

弱い人間も存在るんだってことを
否定しないでくれたこと・・・

嬉しかったんだ
安心 したんだ・・・

高屋奈月『フルーツバスケット』 第85, 86話

ここまで読んでいただければ、この言葉を発した由希の心理を、きっと追うことができるのではないかと思います。

  1. 正確にはこの両者には重なりある部分も多分にあると思いますが・・・。 []
  2. 先ほども述べたように、これはほめることの「一部」です。 []

自己愛の重要性

 もっとこっちに思うことを書かないとダメだな。今の自分の時点での考えの表明ですから、間違っていることが多々あると思います。が、温かく見守ってください。

 最近重要だと思うことのひとつに、「自己愛」という概念があります 1 。概念がありますって言ったって、そんなに小難しく概念って書くべきことでもないような気がしますが、まあ、「自己愛」です。もうちょっと言うと、「自己存在の肯定」とでもいうのでしょうか?それとともに、しつけということの難しさということについても考えています。

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  1. 自己愛については、ハインツ・コフートによる自己心理学が有名なようですが、未読です。 []

童話の深層 ユング心理学とグリム童話

ユング心理学、河合隼雄本 第2弾

 先に挙げたユング心理学入門が自分の中では結構良かったので、色々と読んでみようと思いました。

童話の深層 ユング心理学とグリム童話
著者: 河合 隼雄
ページ数: 396ページ
出版社: 講談社
発売日: 1994年2月

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ユング心理学入門

最近のお気に入りは心理学

 最近といっても、結構前からですが、一番興味があるのは心理学です。

 そして心理学といえば、なんといってもこの二人、フロイトとユング。そんな二人ですが、今回は河合隼雄さんのユング心理学入門を読んでみました。この本は、ユングの心理学について河合さん独自の体験を通じた視点で解説を加えていくという感じの本です。

ユング心理学入門
著者: 河合隼雄
ページ数: 324ページ
出版社: 培風館
出版日: 1967年10月

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帰ってきた「箱」: 自分の小さな「箱」から脱出する方法

 復帰第1弾はこれにしようと思います。色々草稿はありますが、このニュースを聞いて一番嬉しかったので。

一度は読んでみて欲しい本

 どなたにも一度は読んでみて欲しい本に、「箱 − Getting out of the Box」があります。

箱 − Getting out of the Box
著者: The Arbinger Institute
ページ数: 259ページ
出版社: 文春ネスコ
発売日: 2001年10月

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年を重ねることは悪いことなのだろうか?

 年を重ねることは悪いことなのだろうか?とよく考える。確かに、肉体的に衰えたり、思考が堅くなったりもする。

 肉体の方は置いておいて、思考の方は本当に果たしてそうなのだろうか?と思うこともある。確かに、そういう人が多いとは思うけれど。

 小さい頃にはわからなかったことが、たくさんわかるようになって、そんな自分がすごく嬉しい。

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